メソメソ女の涙は海に混じって深く沈むアニメ、今週はダイビング直前猫祭り。
小さな子猫のために奔走する二人を描くことで、すっかりバディになった二人の関係、弱々しかったてこの変化を描く話でした。
緑の中をデートする部分とか、ネコっぽい生き物の細かい世話描写とか、原作を膨らませた描写もよく聞いていて、最終話前のひとまとめとしてなかなか仕上がったエピソードでした。

今回は何か新しい変化が起きる回と言うか、最終話の総決算を前にして、てこの成長を総ざらいしておく回という印象を受けました。
ぴかりに手を引っ張られつつも対等になろうと頑張る関係性ですとか、自分に出来る範囲で必死にやろうという前向きな意思とか、時には迷うことを楽しめる心の余裕とか、伊豆で手に入れたものを一個ずつ確認するようなお話。
しっかり成長し未来に向かって歩みを積み重ねてきたからこそ、一人ぼっちだった過去の自分をネコっぽい生き物に重ね合わせ、救われるのではなく救ってあげる立場に慣れたと考えると、最終話一個前に必要な話ですね。

確認されているのはもう一個あって、バディであるてことぴかりの関係性。
基本的にはぴかりがてこの手を引いて暗黒から連れ出してあげるわけだけども、ぴかりもてこの事は対等な友人だと思っていて、お互いに刺激を受ける関係性。
子猫に対して『私が、この子にとってのピカリになってあげれたら』という言葉をかける当たり、あの黒髪メソメソ女の中でどんだけぴかりがデカい存在なのかはよく分かりますが、同時に手を引いてくれた親友のように誰かを導ける存在になりたいという野望も感じられる。
それは伊豆に来たばかりの、下を向いてばかり居るてこには不可能な大望だったのでしょう。
同時にそういう野望を肯定する仕事、手を握って『出来るよ』と言ってあげる役目は、第4話と同じようにぴかりの特権なわけです。

時間が行き過ぎ経験を積み上げることで、てこ自身も、てこが認識する世界も変わりました。
自分に信を置けるようになれば寄り道を楽しむ余裕も出来てくるわけで、ぴかりとの緑のデートはそこら辺を確認するシーケンスだった気がします。
この時ぴかりのポジティブな認識をもらうだけではなく、てこ自身のポエジーな夢をぴかりに投げかけて話が進んでいくのも、二人の関係が変わったなぁと感じるところ。
ゆっくり一歩ずつ進んできた成果を、どこか過去エピソードの残滓を感じるリフレインを演出に組み込みつつ確認していく回であったと、しみじみ感じ入りました。


同時に新しいものへの出会いというもあって、猫なんだか猫じゃないんだかよく分からない弱い生き物を見つけ、守り、養う経験は、これまでなかったもの。
一年コンビは基本的に二宮姉弟や火鳥先生に見守られ導かれる側なんで、あんま弱いものをケアする立場にはなってないのよね。
そういう話を挟むことで、だんだん見守られる側から見守る側へ、導かれる側から導く側へと変化しつつある二人を描こうというのが、今回のもう一つの狙いなのかもしれません。

まぁ結局、オババや火鳥先生にしっかり見守られてるし、最終的には校長先生の温情で状況が改善して終わってはいるんだけども、それも二人の努力と真心が引き寄せた結果であり、小さな成長は無駄にはならない。
ここら辺の小さくて確実な積み重ねは、このアニメでは非常に大事にされてきたことなので、お姫相手に自発的にやれることをちゃんとやって、結果を手繰り寄せた今回の話は、変わる部分と変わらない部分を明確に描写した、良いまとめだったと思います。
アニメで描写が太って、衣食住から下の世話まできっちり面倒見るてこの姿が丁寧に描かれたの、やっぱ良かったな。

変化と言えば、かつては『過去と内面しか見ず、現在と世界に目を向けない』てこの象徴だった携帯電話が、危機を脱する知識へのアクセス経路として機能していたのは、変化する世界を巧く表現していたと思います。
何度も言いますが根本的にロハスな話なので、テクノロジー排除の方向に話をいくらでも勧めていけるはずなのに、携帯電話は他のアイテムやキャラクターと同じように、良くも悪くもなれる可能性の塊として描かれている。
ぴかりと出会い目を見開いて世界の色を感じるようにした結果、てこの携帯電話は過去を閉じ込めておく檻から、今目の前にいる弱い生き物を守り、育むための知恵を見つける可能性へと変わったわけです。
キャラクター単独の、もしくはキャラクター同士の変化と不変を見せるエピソードで、印象的なフェティッシュの扱いを少し変えて描写し、お話を巧くまとめ上げる補助に使っていたのは、良い演出だなと思いました。


というわけで、伊豆とダイビングと金髪元気少女に出会い導かれて、黒髪少女がどう変わったのか、そしてどう変わらなかったのかが猫を通して見えてくるエピソードとなりました。
これまでのお話を原作の再構築含めてしっかり積み上げてきたからこそ、変化と成長をまとめ上げた今回の話しが、じんわりとした感慨を産んでくれるのがありがたい。
くっそ面倒くさいメソメソ女は相変わらずうぴょうぴょ女が好きすぎて頭おかしいですが、それでも自分の目で見て自分の足で立ち、自分以外の誰かを助けようと頑張ったわけです。
それは、とっても豊かでいいことだなと思います。

今回確かめた成長の息つく先は、やはり海。
アニメに物語を再構築する上で、明確なゴールとして与えられた『ダイビング資格講習』が来週、ついにやってきます。
それを見たときの感慨で、このアニメがどんなお話だったのかが明確に判ると思いますし、それをしみじみと味わうためにこの物語を見守ってきた部分もある。
内気で面倒くさい女の子がどこに辿り着いて、そこからどこに飛び出していくのか。
来週訪れる一時の終わりを名残惜しく感じつつも、僕はとっても楽しみなのです。